時間稼ぎのブラックホール




(nkk07より続く)

「ブラックホールなんて本当はないのよ。そもそもあれは単なるアインシュタインの方程式の解答であって、完全に卓上の妄想なの」

「もっ、妄想って…」

ブラックホールの存在ついて全肯定する科学者は居るはずもないのだが、全否定する者もおらず、今やその存在については暗黙の了解となっているはずだ。

「凝縮された中性子星は、本当は双子のもう片方の宇宙に消滅してしまうの、わかる?」

「…」

「ちょっと質問していい? じゃ、月並みだけど宇宙の始まりは?」

「大体あなたがたの推測通り」

「ビッグバン?」

「そう。宇宙が双子の構造になったのもその瞬間。物質の宇宙と反物質の宇宙。それらが相互に作用し合っているという観点にもしあなたたちが気付けば、多くの謎が解けるはず」

リサ ランドールという科学者はこの宇宙は多次元である可能性が強いという研究を発表をしているのだが、このリスの言っていることはそれにかなり近い。

「たとえば、ダークマター。計算上星の質量が欠落して見えるのは、その構造に気付いていないから。双方の重力が互いに影響を与えているの。2つの宇宙をレイヤのように重ねて見たときに、初めて謎が謎じゃなくなるってわけ。簡単でしょ?宇宙には謎なんてないの。これは単なるしくみよ」

「…」

「あなたたちが知っている宇宙はあなたたちが創りだしたものにすぎないのよ」

「じゃ、本当は全然違うってこと?」

「しくみの全てを理解するのは今のあなたたちには難しいと思う。あなたたちが見ている宇宙はかなり断片的なもので、それ全体はスペースというよりむしろ生命体という表現に近いの。それは永遠になおかつ不確定に進化し続けているわけ。予測不可能なの。そしてその宇宙を進化させている張本人はあなたなのよ」

「…」

あのビール、あの話。書くことないから真冬に思い出してみる。
SOOさんを最近見かけない。あの木を覗いてみても、もぬけの殻。
冬眠しているのかも。春になったらまたおもしろい話を聞かせてくれるだろう。
リスは言う、謎などない。僕もそう思う。


そして話は宇宙から夢の中へ。


ここ最近、見る夢がすごく変わってきた。こっちに来てからつまらない夢が多くなった。
夢のない夢。日常がそのまま夢に漏れてきてしまっているような夢。最悪。
昔から僕は夢をよく見るし、大体は忘れない。ちなみにいつもフルカラー。
ちなみに白黒の夢って、白黒の時点で「これは夢だ!」って気付かないのであろうか?
奇抜な夢ではないが、起きるとかなり幸せな気分になっていることも多かった。
そして枕元にはここ10年ぐらい夢占いの本が必ずある。
昔から定番は、電車、列車に乗る夢。
ジェットコースターのような超特急。混んだ寝台特急。海沿い、川沿いを走る列車。
たとえば函館のような港町の中を走る茶色い路面電車。
だいたいは夕暮れか夜が多いな。商店街の店舗から漏れる裸電球の光。問屋街みたいなところ。僕は歩いている。人も楽しそうに歩いている。電車を乗り継いで、買い物をしたり、ラーメン食べたり。ぶらぶらと。知り合いに合うことは無い。だけど全くさびしくはない。周りの人が皆、やけにがやがやと幸せそうだから。ここにずっと居たい。起きた時にちょっと心が悲しくなる。そこには絶対行けないってことに気付いて。夢の中の函館は実際の函館ではない。でも実際の函館もすごく好きだ。大門町。8歳の時に僕はそこで初めて回転寿司を見た。

もうひとつの定番は学際か何かでバンド演奏することになるのだが、どうしてもベースが覚えられなくて、暗い舞台脇でメンバーに呆れられながら教えてもらうっていう夢。学際だって思うのは観客の椅子がいつもパイプ椅子だから。

「3フレットの次は5フレット押さえて、その次どうだっけ?」

これはめちゃくちゃ不安。出番はもうすぐ。そういう時、ステージではRCサクセションが演奏していることが多い。つまり順番からいくとRCが前座で僕たちがトリってこと。俺、ものすごいビックネームでベース弾いてるみたいよ。曲も覚られない、そんなレベルなのに…夢のやることめちゃくちゃ。メンバーの顔は誰一人思い出せないんだけど、グループの名前は覚えている「レジェンドセピア」。そして俺の名前はNOPPI(のっぴ)、特技ブーメランダイブと気絶そのまま退場。

そのバージョン違いとして、大観衆(野音みたいなところ)の前でラップをしなければならないのに、まだ歌詞を覚えることができずに慌ててるというのもある。

Yo cheak this out!
五感蓄えるコンデンサ 内蔵 Kの魂 今 漏電
次世代真空管 通電完了 毎ナノセコ 浸透 蛙飛び込む俺の声
あの地平線 遥か向こう 西から昇ったお日様が
東に沈みっぱなしな日 割り切れない 感情
素数 もひっくり返すと割と普通 
木目のような人生 なぞる 左周りに 核心は依然渦の中に 
ワンピースを着せられた気分になったことってあるかい?
それも母親の時代のような…

この最後の「ワンピース…」のところがどうしても憶えられない…そういう夢。

定番予備軍としては「高層マンションクリスタル系」「きらきら河川系」「忍者屋敷系」「モテ系」「家の周りに宇宙人徘徊系」「卒業式系」などがあるのだが、忘れていけないのは「うんこ系」ってのがあって。
もうね、便器にべっとりうんこがついてる。
これがね、夢占い本によるとめちゃくちゃ良い夢なんだ!
何が良いのかっていうと「銭」。「じぇに」ですよ、奥さん。
ズバリうんこは金運の象徴なのだ。これが経験上かなりの確率で当たる!
割とデカめの仕事が入ってきたり、予想もしなかった収入があったり。

その夢、昨晩、見ました。

もう、べっとりと…。便器も3つくらいあったかも。
こちらに来てからその「夢のない夢」を見続けていたのだが、最近ちょっと良い感じの夢をボチボチみるようになってきていた。茶色い電車を目黒で降りると横は巨大な緑色の沼だったとか(沼は占い的にはよくない)、少しづつエンジンがかかりはじめている感覚があったところに… ハイ、久々出ました!

「トリブルうんこ便器」(どらえもんのマネで)

でもな、どう考えてもありえない。プリンは作る数決まってるし。今のところ他に大きな収入源もないしな。とはいっても外れたこともあんまりない。
これは楽しみだ。はたしてどういうオチがあるのだろうか。
これはつまり、あっちがどのレベルの額を僕が大金と思ってるか?ってことで、かなり話が変わってくるだろう。
たとえば、迷い猫を見つけて、飼い主にもらった謝礼1万円。帰り道に気付く。

「えっ、あのうんこの夢って、この1万円こと? かなりコンパクトに見られてるますな」

「これがほんとの、だっ糞(ふん)だ!」

いずれにせよ、どんな額が出てくるのかは楽しみだ。
それはつまりあっちのこっちに対する査定ってわけ。

でも実際謝礼もらったら何に使うかな?考えてもあまり浮かばない。欲しいものがない。
回転寿司?電気ひげ剃り?まぁ、そんなとこ。いずれにせよ、男盛りの人間の言うことじゃないよな。とほほ。

貧乏はいいけど、貧乏臭いのはイヤ。なんとなく顔色が青い感じ。
ヒゲを剃らないと顔色悪くみえるよね。えっ!

そういうことなのか…

こういうこと書くと「俗世を捨てた油のぬけてしまったおじさん」って印象に写るのか?
悲しいけど、パッと見はそういうことになっちゃってるかもな。
でも、そういうの、俺、やなんだよな…IKANIMOってやつ。
心にいつもポマードを。てかてか。
佐波くん、俺が頭にバンダナを巻き始めたら躊躇なく撃ってくれ、お願いだ。

僕たちは大体1週間に1度、30km弱離れた富良野市内まで買い出しをする。
それ以外ではお金を使う機会がほとんど無い。たとえ使いたくとも。
実際、財布の中身を見るのってその日ぐらい。残り6日はほとんど「お金」を意識していない。借金できる身分でもない。
しかしネットでなんでも買えちゃう今の時代。アマゾンは危険。だからダラ見はしない。
生活費をぶっちゃけると、田舎は借金さえなければ10万で余裕で暮らせると思う。
この額は我が家だけの数字だけじゃなくて、周りの人もそう言ってる。
食費は酒代込みでたぶん2万ちょっとぐらいなのかな。その額で暮らしている人間の食事が3points supperのanother HOKKAIDO。酒は安焼酎が基本線だけど、そんなに切り詰めてるって感じでもないでしょ?ムラは凄い。ムラの料理より美味い外食って、ここらにあんまりない。

あと俺、相当、タコが好きみたい。タコばっか喰ってる。こっちには「タコ頭」って売っててまたそれがえらく安いの。一頭300円くらい。2万ちょっとで収まってるのも「タコ頭」のおかげかも。タコがあればおじさん幸せ。一頭両得。大体、現代人は食べ過ぎだ。栄養学なんて全く信じてない。神様は人間をタコさえ食べていれば生きられるように創造なさった。裏技として。今度実証してみせる。
「スーパーサイズミー」の「タコ版」。見た目はともかく、中身は相当「やわらか頭」になってる予想。

昔に読んだ雑誌で、ミュージシャンがインタビューでこう言ってた。
「自分の通帳に幾ら入ってるのかなんて気にしたこともない。金のことなんてここ最近考えたこともない。僕にとって金は存在しないのも同然なんだ」と。
金のことを心配しながら暮らしていくのはイヤだ。それが心底うらやましくて、絶対富豪に成ってやると決めた24歳の秋。どうやらそれは無理みたい。
富豪は無理だったが、富豪気分。ここではあまり金のことは考えてなくてすむ。

そういう意味ではとやっぱり都会で暮らすってことは大変だ。でかいよね、高い家賃を払うってのは。
何のために働いてるの?って思うとき。思い出す。給料日にもう使えるお金が無いって気がついたとき。当時、ほか弁屋ではじめて見かけたショートカットの女の娘が好きでした。ストライプのシャツをいつも着ていて、胸がデカかった。



ちょっとだけ自由にはなれた。さぁ、問題はこれからなのだ。




今週読んだ105円本
「1970年の漂泊」足立倫行著